私の担当講義科目は金融論と外国経済論V(EU)ですが、学生時代から金融とヨーロッパ経済に関心があったわけではありません。むしろ、どちらも苦手な科目で、金融関係の本や論文をいくら読み返しても、「これが日本語か?」と思われるぐらいチンプンカンプンでした。ドイツ語も、「誰がこんな難しい言語を発明したのか」と呪ったものでした。
にもかかわらず、現在、ドイツやEU経済をとくに金融面から研究しているのには理由があります。学生時代、「どうも、今の社会はおかしい。まじめに働いている人が必ずしも幸せにならなく、逆に納得できない行動をしている国、企業、人が多く、いい目をみているのでないか。なぜ、こんなことになってしまったのか。」という疑問にかられ、「きれいごとではこの疑問が解消できない。人間の本音が顕われる労働と生活の面から社会を分析してみよう。そこから社会をよい方向に導く糸口が見えるはずだ。」と思ったからです。研究していくうちに、「どうやら経済のなかでも金融が大きな影響を及ぼしつつある。」ということと、「日本はずっとアメリカをモデルにしてきたが、もうひとつの未来としてヨーロッパがあるのではないか。」ということに気づき、皮肉なことに若いころに苦手な分野を専攻するに至っています。
しかし、世の中全体の変わっていくべき方向を見究めたい、という信念は今でも変わっていません。といっても日々反省の連続で、現在の私は、学生時代の私に対して常に恥ずかしく思っています。私のことはともかく、学生諸君に、学生時代にまず自分の「背骨」を形成し、将来それをもとに「内臓」、「筋肉」をつけていく生き方を強く薦めます。
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